漢方の知恵で「ポジティブ・エイジング」の勧め。 インタビュー 医師/木村 容子
漢方で心と体のバランスを整える
私は父の仕事の関係で、小学校低学年の一時期をエチオピアで過ごしました。
当時のエチオピアは、政治情勢が不安定で貧富の差が激しく、住んで数年で革命が起き、家族と共に慌てて日本に戻ってきました。
そうした経験から、国の平和と発展に貢献したいと、中央官庁へ入省しました。
仕事に追われ、若さに任せて無理をした結果、いつも肩こりや頭痛などの不調に悩まされるようになりました。
そうした中、イギリスへ留学する機会を得ました。
今思えば不思議な縁ですが、知り合ったイギリス人の同級生に漢方を勧められたのが、漢方医学との出合いでした。
漢方治療を始めてから、あれほど苦痛だった痛みから解放され、心身ともに元気になりました。
帰国後、今度は自分が不調に悩む人の力になりたいという思いが募り、医療の道へ進みました。
東洋医学は心身全体のバランスを整えることを目的にしています。
肩こり、頭痛、冷えなどの症状を改善するだけでなく、一人ひとりの体質や症状に合わせた治療(個別化医療)により、「風邪を引きにくくなった」「体調を崩しにくくなった」「疲れにくくなった」など各自に備わっている体の機能、例えば免疫力などを最大限に発揮できるようにサポートします。
近年は、がん治療の精神的ストレスや体力消耗を改善し、免疫力を高めることで治療を補助するなど西洋医学と連携する機会も増えています。
「人生100年」時代を迎える中、漢方の知恵を活かして老化を緩やかにする“ポジティブ・エイジング”によって、内側から元気になって頂ければと思います。
元気に年を重ねることができ、子育てや介護をする方も笑顔になり、周りに笑顔の輪が広がっていく・・・そんなお手伝いができれば幸いです。